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低予算で大袈裟な設定の実現法 シナリオの行間をつくるキャラクターづくりの手法 就職・結婚後に映像を続ける方法
     

キャラクターづくりの手法【2004/02】

 作品はシナリオが大事ですが、そこの中で動くキャラクターもまた大事です。ドラマに出てくるキャラクターが魅力的で説得力があれば、作品をシナリオ以上のものにできます。

キャラクターをつくりあげる要素

 シナリオに書き込まれたキャラクターは、残念ながらドラマを引っ張る最低の動きしか描写されていない。もちろんそれだけでも魅力的なキャラクターは表現されているのであるが、監督という立場からこれにさらに磨きをかけることが「行間を埋める」演出となる。ここではキャラクターをつくりあげる主だった要素を整理してみよう。

 ・シナリオによるもの
 ・小道具、衣装、メイクによるもの
 ・演技によるもの
 ・撮影のアングル、照明によるもの
 ・編集や音によるもの


 もちろん他にも要素はあるだろうが、大雑把にはこんな所だろう。シナリオによるものについては、各種のシナリオ入門書などを参照してもらうとして、ここでは小道具以下を見ていく。

小道具、衣装、メイクによるもの

 シナリオに出てくるキャラクターをすぐに認識させる方法として衣装がある。日本には特にありがたいことに制服文化があり、高校生と大学生はすぐに判別がつくし、背広を着てればサラリーマン、所謂OLとキャリアウーマンも見分けがつく。まずはそのへんで大きくキャラクターを分けられる。そこに趣味や着こなしを加えていく。同じ背広でも地味と派手では職種が違ってくるだろうし、都会の女子高生と田舎の女子高生、時代によってももちろん違うだろう。眼鏡をかけるかけないでも違う。メイクも同様で生き生きとした感じが疲れた感じか、老けさせたり若く見せたりとできる。 小道具は、そのキャラクターをより一層表現してくれる。手紙の文字、使っている手帳、普段飲んでいる飲み物など数えあげたらキリがない。また、シナリオ上に付加してもよい。キッチンで洗い物をしているお母さんが足ツボのマッサージ具を踏みながらにすれば、キャラクターとしての幅を広げることができるだろう。

演技によるもの

 撮影に入る前にはリハーサルをおすすめする。長い作品で全シーンをリハーサルすることができないこともあるだろう。ただ、俳優がキャラクターを掴む程度の読み合わせをしておくだけで、現場での流れが大分違うものになる。
  実際に設定通りに動いてもらうと、シナリオ通りで動きがうまくいかない場合もある。あらかじめそれがわかれば、演出的にある程度の準備をすることができるのだ。また、それを踏まえた上でアドリブを入れたり、こんな小道具あるといいよね、みたいな工夫をするチャンスがある。
 演技におけるキャラクターづくりは、動き、声のトーンなどだが、例えば食事ひとつとっても、勢い良くかき込むように食べるのか、ゆったり優雅に食べるのか、好きなものを最後に残すのか、最初に食べるのか、そういう所を想像できる限り俳優と話ながらつくっていくのがいいだろう。漫画チックな作品とリアリティを求める作品では、説得力を満たすスタンスも違ってくる。リアルな作品で漫画チックな演技をするのは一発で下手だとわかるが、漫画チックな作品で必要以上にリアルな芝居をすることもまた違うのだ。

撮影のアングル、照明によるもの

 撮影や照明でもキャラクターはつくりだせる。下から見上げたアングルで堂々とした感じとか、暗いライティングで裏家業ぽさとか、こういうのは初心者用の映像入門書にたくさん書いてあるだろう。

編集や音によるもの

 ここまでは、プリプロ、プロダクションでのキャラクターづけだ。だが、ポスプロでもキャラクターはつくれる。例えば、俳優の動きの一部にコマ落し(サイレント映画でよく見るやつね)を使うとか、「サザエさん」じゃないけど俳優が歩く音を可愛い音にしちゃうとかである。実写では、本広克行監督の「友子の場合」にはそういう描写があり、作品を楽しいものに仕上げていた。
   

 
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