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プロローグ・いきなり挫折篇小型映像制作の変化映像の制作工程メイキングビデオ評
     
映像の制作工程 【2004/02改訂】

映画とビデオの制作工程を比較しながら見る

 映像入門書において、映像の製作工程を詳細に解説したものは少ない。特にフィルムとビデオとの比較、連関を念頭においたものは皆無に等しい。ここでは、映像の製作工程を追いながらそこでなすべきことなどを見ていきます。

○プリプロダクション(プリプロ)
  製作の準備作業。シナリオをつくることが中心かな。なかにはロケハンなどで準備とはいえないような人数が動くような場合もあるので、プロダクションとの境はあいまいな気も。
○プロダクション
  製作の中でも主に撮影期間を中心に指して使うことが多い。製作=撮影というイメージを代弁するかのごとく使われている。製作母体となる会社・グループをプロダクションとも呼ぶ。
○ポストプロダクション(ポスプロ)
  仕上げ作業。編集とか音のミックスとか。映像の仕上げだけをやる会社・スタジオもポストプロという風に呼ばれたりする。
◯各工程の解説
★発想
  制作の起点になるアイデア、考え方、方法、テーマなど。
★シナリオハンティング(シナハン)
  脚本を書くために下見をすること。シナリオライターの他に多くても監督、プロデューサー、製作部スタッフあたりが参加する程度が普通であろう。
★シナリオ執筆
 

シナリオ(脚本)を書くこと。実際は企画書からはじまって、ストーリー、プロット、ハコ書き、シナリオとだんだん進んでいく。通常のドラマの脚本については様々な入門書で触れられているが、ドキュメンタリーやテレビのバラエティー、企業用のVPなどはあまり知られていない。これらの作品では、上(左)に映像、下(右)にナレーションという形式のフォーマットが主流で、作品によっては当然、「◯◯コメント」「取材の状況によって…」「あとはアドリブでお願いします」「資料をいただいた後構成します」とか台本上で完全な完成形態にまでいってないことも多い。TVCMの場合はいきなり絵コンテで、シナリオをおこすことはまれである。(企画のアイデアとして、字コンテという形でそれに近い工程があることもあるが。)いずれにせよ、あらゆる映像入門書でシナリオの重要性は主張されていて、映像制作の設計図としての役割を果たす。

★ミーティング
  各パートの細かいミーティングは当然発生するが、大きなポイントとしては「オールスタッフミーティング」「美術打ち合せ」「技術打ち合せ」がある。「オールスタッフミーティング」はクランクイン寸前に関わる主要スタッフが一同に会し、最終的なトーン、方法の確認などを行うものである。広告系の映像では「PPM(プリプロダクションミーティング)」と呼ばれるものがこれにあたり、主要スタッフに加え、広告代理店のクリエィティブ担当者がこれに加わる。「美術打ち合せ(美打ち)」は、大道具や小道具、装飾、衣装、メイクなどのスタッフの総合打ち合せ、「技術打ち合せ(技打ち)」は、撮影クルーを中心とした技術スタッフの総合打ち合せで、ロケハン後のスケジュールで状況によってそれぞれ数回組まれる。どちらにも、監督、プロデューサー、製作部、演出部スタッフ、スクリプター(タイムキーパー)が参加することが一般的である。
★ロケーションハンティング(ロケハン)
  撮影場所を下見すること。部隊が大きいと、製作部(または助監督)が先行でロケハンし、それを監督や撮影、美術などの主要スタッフが見に行くという2段階ステップをとることも多い。ロケハンは、ある意味プリプロの山場で、紙の上のイメージが具象化する楽しい瞬間でもあったりするが、製作部的には、撮影交渉、駐車スペースから食事、トイレ、場合によって役者のメイクや控え室的スペースを確保する重たいワークであり、美術装飾においても、装飾の規模によっては大変神経を使うワークとなる。小型カメラによる自主製作スタイルでもロケハンには、カメラ(ビデオカメラ)での記録と太陽の位置確認のためのコンパス、装飾などのためにメジャー、手帳やメモなどにより必要な情報を極力入手するように努めることが大切である。ロケハンの写真もまた独特の撮り方があり、パノラマ風につながるように撮影し、台紙にスコッチテープで貼って各ミーティングに使用する。
★その他のプリプロダクション
 

予算・資金集め:自己資金で調達するでも、誰かをあてにするでもこのくらいの規模ならこれくらいと読めるようにしないと、作っている間どんどんお金が出ていく。今後、安く良質で売れる作品が求められていく中で、監督にも予算の使い方のセンスが求められるようになっていくだろう。
上映・放映方法:上映や放映方法をあらかじめ念頭においておく。これがないと、誰に向けてこれ作ってるの?というのができちゃう。このへんは、テレビのプロデュースの方がセンスを持ち合わせているかも知れない。この時間のこの枠だから、こういう原作、こういう俳優、こういう内容ってことになる。個人インデペンデントなら逆に上映のやり方に新機軸をつくりやすいはず。今後可能性を試していきたい部分である。
情宣方法:情報宣伝の略。これをあらかじめ検討しておく。製作発表とか、撮影時の取材とか、主に製作宣伝(上映時の宣伝ではない、上映までの話題づくりのための製作してますよ−的な宣伝)あたりは早めに検討しておく。個人でつくるインデペンデントで本格的にやることは少ないと思うが、ホームページで製作日記アップみたいなことも立派な製作宣伝だったりする。もちろん、上映・放映方法が決まってくれば、順次それ用の宣伝プランも検討していくことになるだろう。
ラフスケジュール:最初はこのへんでシナリオ、このへんで撮影、このへんで編集…みたいな感じ。スタッフが集まって、俳優が決まって、だんだん詳しくなっていく。
タイトル決定:スタッフ、キャストのモチベーションアップ。観客の期待を煽る意味でもタイトルは重要である。
スタッフ交渉:こういう作品だから撮影は誰がいいとか、という検討がされるのが理想だが、現実には、このくらいの予算だから、という風になることも多い。プロの世界だと特に監督と撮影、撮影と照明というのは、意思疎通とかやりやすさの関係で割合パックのようになっていて、監督が決まると、ある範囲の中で撮影、照明がほぼ決まってしまう。プロの撮影技師を知らないアマチュアのパーソナルインデペンデント出身の監督は、そこではじめて会うプロの撮影技師+照明技師と意識が合わず、作品以前の問題で悩まなければならないこともある。
キャスト交渉:監督、プロデューサー、いればキャスティングスタッフを中心に行われることが多い。必要に応じ、オーディションも行われる。最近では個人のインデペンデント作品にも有料・無料はケースバイケースだが、芸能プロダクションに所属しているような俳優が出てくれたりということが行われるようになってきた。つまりはキャスティングの幅が広がり、より説得力のある人をキャスティングできるようになったわけである。10年数前、学生映画の老け役は、老け顔の学生が似合わない背広着てやっていたし、逆に、おじさんたちの作る作品の若者役は、童顔のおじさんが若い格好してたりという、とても奇妙な状態だった。それを考えると大きく進歩してきているといっていいだろう。これにはインターネットなどの情報流通の変化もあるが、何よりパーソナルインデペンデント作品が市民権を獲得してきていることに他ならない。ちょっと前まで芝居をやるなら舞台で、オーディション用紙に個人の自主製作作品の出演履歴が書かれるということは皆無だったが、今はちらほらある。面白い時代になってきた。
各パートの現場への準備:スタッフをたくさん抱えた場合、役割のグループとして製作部、演出部、撮影部、照明部…など◯◯部単位で行動することも多い。

★撮影
  フィルムとビデオの撮影の差で最も大きな要素のひとつは、音の取扱いだろう。フィルムは画をカメラで音をナグラなどのレコーダーでセパレートで撮る(録る)。つまり、画の素材と音の素材が別々になるわけだ。これを同期するのがカチンコだったり、新しくはタイムコードだったりするわけだが、ここから先の工程がビデオと違うのはこの要素が大きい。(ちなみに少し前までは8ミリ映画や16ミリ映画の一部ではフィルムに塗られた磁性体に録音できるシステムがあり、フィルム上に画と音が撮れるシステムもあった。)ビデオは画と音が1本の収録テープに収まるので、この煩雑さからは解消される。ただし、小型カメラではないビデオの映像製作においては、ベースと呼ばれるモニター基地みたいのがカメラと有線でつながっているパターンもあり、撮影の取り回しの自由度という点においてはフィルムカメラに劣る場合もある。ビデオの場合はこの後、オールラッシュを経て、画と音が共に編集へと向かう。フィルムも編集に向かうが、音のテープはシネおこしという工程を経る。
★オールラッシュ、リテイク
 

ラッシュとは、撮影した素材を試写して確認すること。正確にはラッシュ試写といい、オールラッシュとは、そのすべてを確認する試写ということになる。もちろん撮影素材すべてをオールラッシュでやるのは、時間的にも難しいので、実際の所はOK部分、keep(使用するかも知れないショット)部分だけが試写される。つまりこの時点で実質は仮の仮の編集は進んでいるということなのだ。リテイクとは、確認してNGだった箇所を再撮影することをいう。実際、クランクアップしてからリテイクするのは、キャストやスタッフのスケジュールの問題で難しいので、撮影スケジュールの合間でラッシュを確認しつつ、リテイクしていくのがよいだろう。

★編集(概要)
  意外にも編集は、撮影以上にそのメディアを特徴づける方法とシステムで構成されている。とはいえ、フィルム編集のシステムが発端となってビデオの編集の仕組みが考えられたのは間違えないだろう。ここでは、ノンリニア以外のかつてのビデオ編集方法も含めて見ていく。
ここでのポイントはビデオの編集はテープtoテープにしても、ディスクを経由するにしても、ダビング(このダビングはコピーのことで音のダビングとは違う)によって編集が成り立つという点である。一方フィルムは、直接撮影したフィルムをどこかの時点で切断し、組みかえることになる。
★編集(ビデオの流れ)
  ノンリニアのなかった頃のかつてビデオの編集では、ワークテープおこしというものが必須であった。後に説明するフィルムの粗編集のエッジナンバーと同じ考え方でビデオの編集も行われていた。
先にも述べたようにビデオの編集の基本はダビング、つまりコピーである。当時はデジタルビデオなどという画像が劣化しないような便利なものはなかったので、ベ−カム等の業務フォーマットで撮影された素材をそのまま場当たり的に編集していくと、素材を傷つける可能性があるという面と、それらのフォーマットが扱えるコストの高い編集スタジオで作業するという二つの面のリスクを抱えることになる。また、編集し直したい時にすべてをダビングして画質を落としながら更新することになる。
そこで、一旦素材テープをVHSにコピーし、画像の荒れ具合に目をつぶってVHS同士の簡易な編集システムで思う存分編集(オフライン編集)し、
この編集ポイントを参考に、コストの高い編集スタジオで、OL、タイトル入れなどの作業を加えながら、業務フォーマットで編集し直す(オンライン編集)ということが行われていたのである。というか今でも行われている。このVHSにコピーする作業をワークテープおこしという。
感覚的には今のハードディスクへの取り込みのような作業に置き換えて考えるとわかりやすいので一緒にしている。ここでVHSにコピーする際にベ−カム素材のタイムコードを一緒に画面に映し出し(そういうスイッチがベ−カム等のデッキにはある)、それをコピーする。つまりこのVHSには消すことのできない8桁の数字(タイムコード)が常に画面の一部に出ている。この数字は1フレームごとに数字が違うので、これを頼りにオンラインの編集スタジオで編集し直すわけである。( ひと昔前の裏ビデオなんかはモザイクをはずしたショットがこのワークテープ素材で挟み込まれていたりするのでわかる人にはわかるだろうが。)
何らかの試写が必要な場合は、このオフラインが終わった時点のもので、作業上できなかったOL、タイトル入れなどの説明をつけ加えて確認をとることが多かった。
今では、オフライン編集の作業がノンリニアでハードディスク上で行われるようになった。その編集データ(ソフトによってタイムコードを一覧表にしたEDLデータというのを生成してくれる。)をオンラインの編集スタジオに持ち込むケースと、そのままノンリニア上で編集を完結するケースの二つに大別される。前者の場合、安価なノンリニアのほとんどの機種は画質が落ちないといっても何らかの圧縮がかかっているわけで、TV-CMなどの少しでも高画質が要求される現場では、それを少しでも引き上げる目的がある。後者の場合、オフラインとオンラインの明確な線引きが難しくなり、便宜上の言葉になりつつある。(大量の映像素材がある場合、ハードディスク容量等の問題で低画質で取り込み、編集後高画質にバッチで取り込み直すというやり方があり、これだとまだ画質の差からオフライン、オンラインの区別がつくのだが。)
なお、タイトルなどでも編集ではできない複雑なCGを使ったり、デジタル処理を外部発注するケースもあるため、編集の枠外にこれらの項目を設けた。
★編集(フィルムの流れ)
  フィルムの場合(8ミリフィルムを除く)、先にも述べたように画と音が別々の素材となる。画の方は撮影済みフィルムは一般的にネガとなり、現像所でポジのラッシュをおこす。(ネガフィルムではそのまま見れない、ポジフィルムにプリントすることによって正常な色で見ることができる。これは写真のネガとプリントを想像してもらえばよいといいたいが、最近はAPSやらデジカメやらで写真フィルムでもネガを見る機会が少なくなった。)同時に音の方はシネテープというのをおこす。テープといいつつ立派にフィルムの形をしている。要はフィルムと同じ形をした磁気テープという想像をしてもらえばいい。これをシンクロナイザーとかステインベックとか画と音を同期できる機械で一緒に走らせる。ここで、画を切り、音を切り編集を加えていく(粗編集。正確にはポジ編集と呼ぶべきだが、粗編集とか仮編集という言い方でそれを示してしまっている)。画の方で特殊効果をかける部分は、ネガに所定の指示を入れて現像所に出し、オプチカルにかける。(今だとスキャニングしてデジタル効果をかけることもある。)ここからもう一度特殊効果のかかったネガが出来、そこからラッシュおこしてつなぐのが理想だが、時間がないとダビングまでアタリとして特殊効果のかかる前のラッシュがつながっている。
こうしてつながったフィルムには、その画像の外側にエッジナンバーというものが記録されている。このエッジナンバーはネガと同じものが焼かれているので、この数字を基準にしてネガをつなぎ直し画の原版とする。フィルムは実際に切ったり、つないだりをするので、思いの他キズだらけになる。ポジで思う存分編集して、そのアタリをつなぐことで、原版になるネガにキズがつかないようにするための方法であり、これが先にも述べたかつてのビデオ編集の方法に応用されたわけだ。また、新しい撮影機では、エッジナンバーの代わりとなるタイムコードが撮影時に焼きつけられるものがあり、ビデオにおこして編集することも容易になっている。
音の方は粗編集後、ダビングでBGMや効果音などが追加される。(効果アフレコなどフィルムとピッタリのタイミングを合わせるものは、本来シネテープをおこし、トラックごとにロールをつくり編集することになるが、現在では、ビデオに立ち上げてその画でダビングするため、以前のような複雑さはなくなった。) これでミックスし、完成した音を音ネガというものに現像所で焼きつける。
こうして、フィルムは原版が画と音が別々に出来上がる。これはともにネガなので、そのまま見ることも聴くこともできない。
8ミリフィルムの場合、現況では同録するフィルムは販売されておらず、一般的にはリバーサルと呼ばれる撮影したフィルムがそのまま上映用のフィルムになるタイプのものになる。したがって、現像からあがってきたフィルムを直接編集して、音を後から入れて、唯一の原版兼上映プリントとする。ポジがないので当然、編集には細心の注意が必要になる。
★ダビング(MA)
  ダビングとは、BGMや効果音など追加し、バランスをとりながらミックスする作業。必要に応じて、この前段階として音声や効果音をアフレコしたりする作業が発生する場合もある。かつてのフィルムダビングでは、音声トラックが1つしかなかったので、シネテープを数ロールつくり、ダバー室という所で一斉に同期して走らせ、さらにBGMなどをその場でポン出ししたりとかして、ダビングを行っていた。
これに対して、ビデオのダビングは1本のテープに複数のトラックを持つマルチオーディオトラックを初期の段階から使っていたものと推測される。おそらくフィルムのダビングに対する言葉としてMA(マルチオーディオ)という言葉が、そのままダビングを表す言葉として定着したものと考えられる。
現在では、フィルムもビデオも一般的にマルチオーディオトラックのディスクで収録され、ノイズ除去など1フレーム単位いやそれ以上の細かさで加工が可能になった。過去の名作などを見ると、音の単純さにオイオイと突っ込みを入れたくなることがあるだろう。だが、それがその時代の精一杯だったのだ。それがいかに名作であっても、音の部分での技術の差はやはり今と昔では雲泥の差があるといえよう。
★プリント
  ビデオの場合、原版は再生する機械さえあればそのまま見ることができるが、フィルムの場合はプリントしなければ見ることはできない。ビデオの場合でも便宜的にVHSなどに初めてコピーすることを初号プリントとか言うこともあるが、フィルムの場合はその意味は少し違っている。ここにある0号プリントというのは、それぞれのシーンやカットにおいて正確に色合わせをしていない状態を示す。フィルムの場合、カットごとに色を調整するタイミングという工程をプリント時に施すので、全体をつないだ0号プリントを見た後にそれぞれのカットの色補正をするのである。とはいえ、現像所にも経験値やデータがあるので、ラッシュの状態で大体の色の転ばせる方向は見えている。予算の少ない作品は当然のことながら0号を飛ばして、タイミングを取りながら初号をとり、問題があればもう一度プリントするぐらいのスタンスでやっているようだ。

 
プロローグ・いきなり挫折篇小型映像制作の変化映像の制作工程メイキングビデオ評
     

 


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