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室内照明【2004/02改訂】

 いよいよ室内照明です。パーソナルインデペンデント作品においては、最も弱い技術分野のひとつといえるでしょう。

室内照明の準備・機材を揃える

 本来ロケセットなどで威力を発揮するのはパルサーなどのライティングキット系のもの、予算が許してやや広い場所ならHMIということになるのだが、 ここは、想定が20〜30万の予算のパーソナルインデペンデント作品ということだから、アイランプを中心にした照明機材で考えてみる。とりあえず6畳のワンルームをアイランプ3灯で照明してみよう。で、用意するものだが、低予算でもこれだけは欲しいというのは、

 ・アイランプ300w(フラット・タングステンタイプ)…3個
  (フィルム作品の場合は感度も考えて500wが理想です)
 ・アイランプホルダーまたはクリップ&ソケット…それぞれ3個
 ・ゲージ (アイランプホルダーにつける丸い篭みたいなやつです)…3個
 ・ライトスタンド(予算の許す限り重いもの)…3個
 ・B5照明用フィルター…1枚以上(切って使います)
 ・パーマセルテープ(撮影用の粘着テープ)…1個

 予算があればオートポールというつっぱり棒のおばけみたいのとかアイランプの150w、B3、A3、A5という照明用フィルターのバリエーションがあると便利である。あ、それから一応レフもあるといい。これらは大きなカメラ屋で手に入る、ただし、レフについては折り畳み式のものがこういうお店では主流となっている。

これがアイランプ。 写真は500wのランプをホルダーに装着し、 ゲージに黒ラシャ紙を巻いた状態。一般的にゲージにはアルミホイル(遠足でおにぎりを包むやつね)を巻いて反射効率をあげることが多いのですが、私の場合、黒紙でむやみに光が拡散しない形をベースにしている(プロには黒アルミというのを使っている人が多い)。
普通は、こういうスタンド仕様のアイランプは少なく、クリップで挟むタイプのものが一般的である。クリップ型は照明の位置が固定しにくく使いにくいので私はスタンド仕様のものを使っている。もし、クリップタイプしかない場合はせめて別にスタンドを用意して、そこに挟むことでどこからでも照明ができるようにしておく方がよい

 ・ロールのトレーシングペーパー…1本
 ・黒のラシャ紙(大判のNTラシャ)…とりあえず2枚以上

  他にカポック(発砲スチロールの板)、白ケント紙(大判)、パラフィン紙(またはグラフィン紙)などがあると便利である。これは大きな文房具屋で手に入る、大きなカメラ屋においてあることもある。

 ・ピンチ(アルミ製の洗濯ばさみ、なければ目玉クリップを文房具屋で)…1〜2ダース
 ・軍手、ガムテープ、延長コードなど…必要量

 これは雑貨屋。

 以上を全部揃えるとオートポールを除いて6〜9万円くらいだろうか。いままで照明にお金をかけていなかったら結構高く感じるかも知れないが、1回こっきりで無くなってしまうものでもないので、ひととおりの照明ができるということでいい線だと思う。ここまでお金を出せない場合は、ライトスタンドをやめてすべて人に持ってもらうようにすれば、半分くらいの予算に落とせる。また、友達にはゲージをビールの樽缶の底をくりぬいて自作している人がいました(樽だとビール代の方が高い気もしますが飲めるからね)。
 30万円以上の予算がある場合はパルサーとかアリライト、DPライトといったミニライティングキット系をおすすめします(LPLにも似たようなものが安く出ているが、羽根が回らないのが欠点)。また、最近は三脚の会社として有名なザハトラがライトに力を入れていて、300wの3灯セットを持っているのだが、3灯セット唯一だと思うが、手で運べる大きさと重さを実現している(欠点はライトのフォーカシングが少し足りない)。
もっと予算があったらHMIだけど、プロでも普通レンタルなので個人で購入はないだろう。

室内照明の準備・機材を使う

 さて、道具が揃ったら準備をしよう。基本的にアイランプホルダーにゲージを取り付け、アイランプをくるくるはめていく。ゲージには黒ラシャを巻いて、ゲージに付属しているリングまたはピンチで止める(よくアルミホイルを巻いたりしている人も多いが、どれほどの反射効果 があるのか疑問である。破けやすかったり、ガラス窓などに反射して映ったりしやすいので、私はこの方法を推奨する。光もストレートっぽくてコントロールしやすい)。それをライトスタンドに付けて基本1セットが出来上がる。これを3灯繰り返す。
 補足だが、ほとんどの市販のアイランプホルダーはクリップ型のもので、ライトスタンドには挟んで取り付けると、格好悪くずれやすい。はっきりいって取り扱いにくいのだ。 ただ、キングのコード付きソケットは、アイランプホルダーがライトスタンド対応になっているものがある(上記の写真)。これはこれで下への振り幅が小さいという問題もあるが、アイランプをスタンド仕様で使うにはおすすめできる商品といえる。

昼の照明にチャレンジ

 ここまで書いておいて何だが、昼の照明は窓が大きくて外の光が入ってくる場合、レフで対応した方がいいかも知れない。問題は、あまり光が入ってこない場合、さらに問題なのは、光が入ってくる所と入っていない所の明暗の差が大きい場合だ。
 もっと問題なのは、晴天の外と暗い室内を両方一度に見せなければならない場合だが、これはちょっとこのレベルの機材では無理といえよう。サイズが限られて窓際のみしか映らないならレフで対応できるし、部屋に入っていく、パンするなどの動きがあれば、カメラのアイリス(絞り)を撮影中に変えて(絞り送りといいます)対応して欲しい。
 ここでは、あまり光が入ってこない室内の場合を見ていきたい 。つまり、ベースとなる光がほとんどないと考えていいわけだから、一から照明を作っていくことになるわけである。窓が映っていない玄関側にカメラが向いていて、玄関ドアを開けて人物が入ってくるというのをやってみよう。サイズは引きで部屋の様子がわかるくらいとして話をする。

キーライトは原則あまり動かさない

 まず、窓のある場所(または窓があると想定される場所)に1台ライトを置く(これがキーライトってやつになる)。このライトは、外の光を表わしている。したがってこれから先、ショットを積み重ねていく場合も、カメラが窓側を映さない限り、あまり大きく動くことのないライトといえよう。これは部屋の手前を当てておこう(このライトは必ずカメラの左上方か右上方に置いて、カメラの真上から正面 にドーンとくるのは避けて欲しい、でないと人物の影が目立ちすぎてしまう)。

おさえ(フィルライト)でキーライトの影を弱め、タッチライトで輪郭をつくる

 もうひとつは、キーライトの不自然な人物の影を弱めるため、キーライトの鏡像方向からあてる。これは別名「おさえ」とも呼ぶ。例えば、窓の光を表わすキーライトがカメラの左側にあったら、右側から人物の動く範囲に当てるのだ。
 ここで、キーライトとフィルライトに2つの影がでることがありますが、
影の処理については、別の機会に話します。
また、この場合、状況によっては、右側から人物のサイドを当てたり、タッチライト(人物の輪郭を出す)にして、人物の影を堅い感じにすることもある。
 3つ目のライトは、マンションのような廊下の暗い場所だったら、玄関の外に置くのがいいだろう。玄関のドアが開いた瞬間に人物の背景となる廊下が暗いと昼の感じが出ないので人物の背景に当てて置く。シーンの流れの中では、タッチライトやバックライト(背景用ライト)にあたる
  少ないライトの場合、必ずしも人物の立ち位置に3点照明を遵守することはない、というかできない。もし150wのアイランプが余分にあったら室内の一般の照明用具のソケットに直接差して使ってしまう手もある。例えば玄関先のライトは普通100wでそれ以上は使えないことになっているが、大抵の場合150wまでは通電する。バスルームなどのライティングが組みづらい場所では、全体光量をあげるのに重宝するやり方である。 

電源はいろんなコンセントからとる

  コンセントはできるだけ色々な箇所からばらしてとることが基本だ。通常ワンルームで使える電流量は15〜20A、つまり電力量で1500〜2000wだ。これ以上使うとブレーカーが落ちる。つまり部屋の中のあらゆる電源を切っても、500wのアイランプだと3灯を超えてたけないわけである。さらに回路の構造によるが、大体一つのコンセント(たとえ2つ口がついてても)から1500w以上とってもブレーカーが落ちる。注意して欲しい(使える電流の量はブレーカーに◯◯Aと書いてある)。

トレーシングペーパーで光を自然な感じに

 ここからが、照明のツボである。今、無事3つのライトを設置したが、どれも300wなので、例えば玄関先と室内の明るさが同じとか、そのバランスが不自然なままである。またライトの光源なのでどうも昼の太陽光には見えない。不自然な「いかにもライトたきました」になってしまう。そこでここでは、トレーシングペーパー(以下トレペ)を使って、そのバランスを整えていく(トレペよりやや薄めのパラフィン紙でもOK)。ピンチでゲージにトレペを取り付け、光量 を落とすと同時にソフトな光にする。キーライトに2枚、玄関のライトに3〜4枚ってところで、あとのライトはバランスを見て、好みに応じて増やしたり減らしたりしてみて欲しい。
 補足としては、光量のバランスは基本的には(人物やものにあたる場所での)キーライトの光量 を100%とすると、タッチが150〜200%、おさえ(この場合サイド)や背景が50〜70%くらいになるようにするのがバランスがいいとされているようだが、このへんは、色なども含めて経験を積んでいかないとわからないし、私自身もそこまで言えるほどの経験はない。いろいろ試しながら自然な感じになるようやっていく他ないだろう。

アイランプにパラフィン紙を取り付けようとしている所である。
パラフィン紙は、トレペより少し薄めの紙で、トレペより光量を落さずに拡散する光を得ることができる。ただし拡散の具合はトレペの方が強くでる。状況によって使い分け、必要に応じて2枚重ねたりして光の質や明るさをコントロールする。
アイランプのゲージの場合、普通のピンチは挟むものが多くなるとはめにくいので 、私の場合は大きめのアルミ製せんたくばさみを使ったりもしている。
昼光が入ってくる場所では色温度を揃えるためにB5フィルターをあらかじめかけておく。

アイリスは原則動かさない

 ちなみに、このような室内撮影の場合、カメラのアイリス(絞り)は、最初に撮ったショット(大概は広いサイズのショットである)で一度決めたらシチュエーションが変わらない限り原則的に動かさない(ま、実際は微妙には動かしたりすることもある)。これは、次のショットでアングルが変わったりした時に、アイリス変えて、また照明変えてなんてやってると基準がわからなくなってしまうからだ。アングルを変えた時に照明を変える場合には、カメラのアイリスに合わせて、照明(できるだけキーライト以外)の方を調整するのである。
  

 
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