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時間のない時の効率的撮影法【2004/02改訂】
低予算で映像作品を作ろうとすると、撮影場所がどうしたってロケやロケセットに頼らざるおえなくなります。ここでいつも問題になるのは、その使用できる時間が限られていること。今回は、いかに早く撮影を終わらせるかについて考えます。
まずはシナリオからいらない部分を切る
よくよく考えると、切れるものがあったりする。また、他のシーンで置き換えできる場合もある。例えば、喫茶店に男がいる。女が入ってきて、二三言言葉をかわして、封筒を渡す。そして、男が出ていく。女が残る。この場合、少なくとも男が出ていくというショットは、男が封筒をしまいながら街角を歩いているというショットに置き換えが可能である。また、ここで感情を表現したい側、簡単にいえば主人公ということになるが、これが女の場合、頭の「喫茶店に男がいる」という部分は特別な意味がない限りいらないだろう。逆に男の場合は、ラストの「女が残る」という部分がいらないだろう
。
もっと大胆な例としては、あるお店で働く主人公のもとに友人が訪ねてきて話し込むというシーンがあるとしよう。お店で会った後、主人公には休憩をとってもらったという設定で、近くの公園や店の裏などにシーンを切り替えてしまうという手もある。もちろん別設定を設けることで逆に撮影全体のスケジュールを圧迫することもあるのでケースバイケースで対応してもらいたい。
3カットにする
カット数を極端に減らす。ただし、1カットにするのは避けたい。1カットだと映像のリズムを出すのが難しいのと、狭い場所での撮影の場合、キャストの必要最低限の表情を捉えることができないことが多い。例えば、二人の会話シーン。長いショットで台詞を言わせて、その後にポンポンとそれぞれの表情だけのアップとかが2つ入ると計3カットで締めることができる。
たくさんのカット(見せる要素)が必要な場合
結論から言うと、そんなことは不可能である。基本的には、カメラを増やして一気に撮るっていう方法や、一台のカメラであちこちから撮るという方法があるが、これもそれなりに時間はかかる。だいたいカメラを増やす余裕があるんなら、ロケ日数を増やした方がコストが安いこともあるのでスタイルだけでマルチカメラに挑戦するのはいかがなものかと思う。
そこで、方法としては二つ。ひとつは、一台のカメラであちこちから撮るという方法をいかに高率化するか、もうひとつは、1カットなのにたくさんのカットがあるようにいかに見せるかだ。その両方をリンクさせてこんな形で撮ってみてはどうだろう。
高率化とは、実は手持ちだったりする
まずとりあえず、マスターショットを手持ちにする。マスターショットというのは、そのシーンの一番中心になるショットのことで、先ほどの例でいえば、喫茶店に男がいる所から女が残る所まで全体を見渡せるショットということだろう。普通これは二人が座る席と喫茶店の入口がが見えるわりと引きのFIXショットか、まあせいぜい入口からPANして、二人の席ツーショットが撮れるあたりの、まあこれも引き画になるはずだ。
これを手持ちにしてみよう。すると必然、動かしたくなるので、入口の方から、男を見せて、女が入ってくる瞬間に入口にPAN、女の後ろについていって、座る所で女の前にまわり込む。以下、ツーショットにするなり、なんなり必要に応じてして動き、最後に男が出ていくのを女のナメかなんかで決めておけば、とりあえず一連はワンカットで撮れる。カメラが被写体に近づいている分、表情とかもわかるので、ツーショットなんかよりはそれなりに面白い画が撮れそうだ。
さっき1カットじゃダメといっておいて何だが、「はい、ここで時間になりました」となっても慌てふためくことなく、これで保険ができた。そして「ごめん、封筒のアップだけ」と言って封筒のアップだけ別ショットで押さえればなんとかなります(この段階ではカット数はないが、撮り切るという命題は果たせる)。
手持ちや編集が細かい時は、撮影・照明がやや荒くても見れる
このやり方では、手持ちまわり込みなので、照明は凝れない。マスターショットで照明を凝らないということは、当然他のショットもこれに準じますので、凝りようがなく、時間の節約につながる(まあ、ただし、照明を凝らないことが決していいということではないので、あくまで時間を中心にした考え方である。ただ、手持ちにすると、照明の影などの処理をちゃんとしなくても、部分的に顔に必ず光が当たっていなくても、結構いけちゃう画面
になるので方法としては間違っていないと思う)。
次に、他のショットをこれまた手持ちで押さえていきます。マスターショットが手持ちですから、思いきって全部手持ちにして、ドキュメントっぽくするのがいいだろう。ここでは普通
のFIXのツーショットとかにするより、もう1パターン手持ちでマスターショットの逆方向からのちょっと動く画か、顔アップなどを押さえて画面
のテンションを落とさない方向にした方がいいでしょう。FIXにするなら仰角顔アップとか、手持ちで撮れなかったそのシーンの中でポイントとなるショットをおさえる。
であとは、編集で細かくつなぎ込む。編集が細かい時は、照明や撮影などがやや荒くてもそんなに気にならないものである。
たくさんのカットがあるような田中秀夫監督の手法
これは、テレビドラマをフィルム時代からやっている監督には、わりとオーソドックスな方法かも知れない。筆頭にあがるのは田中秀夫監督などがよく使っているクイックズームイン&スローズームバック(今勝手に命名)などのズームの多用です。よく映像の入門書にズームは多用してはいけませんなんて書いてあったりしますが、それはリズム感のないズームは多用してはいけないの間違いなのだ。
で、このクイックズームイン&スローズームバックっていうはどんなのか。例えば、廃虚があって、物陰から刑事が飛び出してくる。そしてゆっくりあたりを見回しながら、歩いてくるというシーンを思い浮かべてみよう。僕らは、これをカット割しようとすると、最低3カットは欲しくなるだろう。これを、廃虚の引きから、刑事が飛び出した瞬間に刑事に素早いズームイン、ゆっくりあたりを見回しながら歩いてくる所で刑事の動きに合わせてゆっくりズームバックというふうにしていけば、なんと1カットで表現できてしまうわけだ。昔「スケバン刑事」とか見てた方にはお馴染みの手法だろう。
ワンカットなのに編集しているみたいにリズムがかわる
この手法のすごい所は、1つのショットの中で、その映像のもつリズムを変えられるという点である。先ほどの刑事の例でいえば、静から急、急から暖へ1つのショット内で明かにそのショットが持っているリズムを変えている。普通カットが変わらないと、そのカットがもつスピード感というものはなかなか変えられないものだが、この方法を応用していけば、1カットの中で複数のリズムを持つことができ、結果たくさんのカットがあるような印象を与えることができるはずなのだ。
ってなことで、時間がない時の効率的撮影法を見てきた。とはいえ、間違えなく時間があった方がいい画は撮れる。そのことは忘れないで欲しい。
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