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イマジナリ−ラインの越え方【2004/02】

 はじめて映像作品をつくる若者が、映像学校で学んできた学生に撮影などを手伝ってもらったりして作品をつくると、このイマジナリ−ラインのことで次のショットをどっちから撮るかでもめたりすることがあったりします。この時主張されるのが「イマジナリ−ラインは越えちゃいけないんだよ」。考えてみると映像学校は、イマジナリ−ラインを教えてくれても、その越え方をしっかり教えているのでしょうか? そんな疑問が沸々と沸いてきました。基本的にイマジナリ−ラインは撮影時から意識されるものですが、映像のつながりという意味もあり、編集のコーナーでイマジナリ−ラインを検証していきます。

そもそもイマジナリ−ラインって何?

 これは既成の映像入門書にも散々書かれていることなので詳しくは割愛するが、要は映像をわかりやすく見せるために考えられた映像編集の法則のひとつといえるだろう。
 例えば、下手(画面左側)から男が走ってくるという映像と、上手(画面右側)から女が走ってくるという映像を何度かカットバックして二人が抱き合うというショットにつなげるようなものを私たちはよく見るだろう。この時何度かなされるカットバックで男の走っているショットが上手になっているものがあった場合、男と女の走っている方向性を観客は一瞬見失うことになる。この見失うことを回避するための想像上の線が映像文法にはある。つまり、イマジナリ−ラインとは、被写体を撮影する時に目線や動きの方向を一致させるための想定線のことであり、カメラがここを越えると目線や動きの方向が観客につかめなくなる、というものだ。

イマジナリ−ラインは越えられるか?

 もちろん越えられる。ただし観客がその方向性を見失わずに自然に越えるにはコツがある。それは次の6つの方法であろう。ちなみに、ここでは編集だけでなくカメラワークとしての越え方も含まれている。

●イマジナリ−ラインの自然な越え方
 1)移動する
  単純にカメラや人物などの被写体が1ショットの中で移動すればよい
 2)早い動きでつなげる
  観客の意識が動きの方に集中するため方向性を見失わないですむ
 3)フレームアウトまたはフレームインさせる
  人物などの被写体を画面の外に出すことで被写体の位置関係をリセットする
 4)位置関係がわかる「ひき」をみせる
  あきらかに位置関係のわかる「ひき」の画を入れることで被写体の位置を強引に確定させる。ただ、自然さという意味においては、被写体の動きなどと併用しないと難しいだろう。
 5)音などの他の要素を使う
  観客の意識が集中する他の要素を使いつなげてしまう方法。ライブ映像などでカメラがどの位置にまわりこんでも気にならないのは、音のリズムに視聴者の意識が集中しているためだと思われる。
 6)カットアウエイ
  インサート的に他のショットを挿入して、被写体の位置関係をリセットする


 様々な映像作品を見ると、大抵の場合上記のいずれかでイマジナリ−ラインを越えていることがわかるだろう。そもそもイマジナリ−ラインを越えないことが、映像のわかりやすさという意味においては最も安全策といえるのだが、それでは絵が舞台中継のようでバリエーションがつかない。面白く見せたり空間に説得力をもたせるにはイマジナリ−ラインを越える映像の構築を常に頭で描いている方がよいと思われる。

時には方向性を見失わせる編集もありうる

 時には、イマジナリ−ラインを越えてわざと方向性を見失わせるという高度なテクニックを演出に取り入れるのもありだ。例えば、ホラー作品などもそうだし、日常的な作品でも登場人物がショックを受けるシーンなどでそういう演出はありだろう。また、CM作品では、視聴者が「あれ何か変だな」という風にずっと映像に集中させるためのテクニックとして、こういう方法をとっているものもお目にかかったことがある(意識的にやっているかはわからないが)。
 いずれにせよ、「イマジナリ−ラインは越えちゃいけない」という既成概念にとらわれずに果敢に映像の撮影・編集をコントロールしていって欲しい。
    

 
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