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プロデューサーとは?その醍醐味 予算の読み方キャストとスタッフ上映イベントの実践
     

上映イベントの実践【2004/02改訂】

 作品が完成したらぜひ人に見せる機会を設けたい。だが一般映画でさえ観客を劇場に呼び込むのが難しい時代、私自身も正直苦労しています。ここでは、パーソナルインデペンデント作品の作り手たち向けに、どうやったら上映イベントを成功に導けるかの基本的なやり方をまとめてみました。まあ、これを実践してないから最近いかんのだなぁ。(反省)

マーケティング

 何が何でも儲けたい、上映費用を回収したいと思うのであれば、マーケティングの概念を取り入れることだ。自主上映イベントの場合、イベントにかかった費用が回収できれば、まずまずの成功といえるから、そこをペイラインとして動員数を予測し、上映会場を探し、宣伝方法を考えていくということである。だが一方、自主上映のイベントくらい、そんなコマーシャリズムからはずれてバカをやってみたいというのも、ひとつの信念であったりもするのだが。

上映作品の本数を増やす

 上映作品の本数を増やすことはポイントのひとつだ。インデペンデント作品の場合、監督も役者も無名なことが多いので、見る方もかなりリスクを背負うことになります。作品本数が多ければ、1本くらい好みの作品があるかも知れないと思うし、それで満足してもらえれば、次回につながる可能性ができる。できれば、やや違った作風の他の作家の作品などを入れるといい。ただ、本数を増やしすぎて、上映時間が長くなりすぎないように注意しなければならない。私自身は、5作品2時間枠というのを理想としている。

他の人から作品を借りる時の注意

 当り前のことだが、ビデオの場合は上映用のコピーを、8ミリフィルムなどの原版がひとつしかないものに関しては、出来るだけ手渡しにした方がよい。どうしても無理な場合は、書留または宅配便など受取が出るものでやりとりすることが賢明である。あれば、作品スチール、解説(プレスシート)などをもらっておくと宣伝の時に便利だ。

作品を借りた時のお礼・レンタル料とかについて

 通常、お礼やレンタル料を払うことは少ない。私のプロデュースしている幻影厨房なんて、送料も出さないこともある。ごめんなさーい(理想をいえば、作家に少しでも還元できるシステムをつくりたいのはやまやまなんですが) 。でも、そういった場合でも、アンケート送付などはしてあげて欲しい。
 現状では、逆に参加費やチケットノルマを課して上映プロデュースをすることの方が多いのではないだろうか。規模や企画によってケースバイケースだが。

お客さんを想定した明確なプログラム

 誰に見てもらいたい上映会なのかをはっきりさせる。これは宣伝にも関わっくるが、バラエティ豊かに作品が集まりすぎて、お客さんにも作家にも、どう作品を受け止めていいかわからないような状態になると、上映会自体の盛り上がりが欠け、1本1本の作品が面 白くても、印象に残らないイベントになってしまう。
 例えば、娯楽というひとことをとっても、特撮怪獣映画みたいのが娯楽って人もいれば、ハリウッド的なものしか受け付けない人もいるし、なんでも笑えればOKという人もいるから、微妙なアンサンブルを演出して、すべての作品が面 白く思えるようなプログラム、上映順を考えたい。特に1本目とトリの作品は重要で、1本目は、誰もが支持できるストライクゾーンの広い作品で、できれば短いものを。というのは、遅れて入るお客さんがいるといけないので。トリの方は、観客をぐっと引き込む力強い作品を持ってくるとよいだろう。

イベント性を高める

 できるだけ、作家、監督、出演者などがあいさつする場などを設け、イベント性を高めまたい。司会がいるだけでもだいぶ違う。ライブなどと一緒にやるというのもあるが、イベント自体にお金や手間がかかりすぎることもあるので、バランスを考えた企画が肝心だと思う。

上映会場の探し方

 やはり、おすすめは映画館だが、お金の問題をさておいても、そうたやすくはいかない。ここで、なぜ映画館がいいと思うのかを考えてみると、次の3点が浮かんだ。1)ハクがつく。2)あらかじめお客さんがついている。3)人が集まりやすい場所にある。 私たちが上映の場所を探す時に見落としているものが入っていないだろうか? けっこうレンタル料とかスケジュールだけで決めてしまいがちになるものだが、上紀の3点もかなり大事なポイントである 。
 また、機材のあるなしは予算とも関わりで大変重要だし、使い勝手も要チェックである。できれば、実際に他の上映会の様子などを見にいったり、実際使ったことのある人に聞いたりしてみるのがいいかも知れない。

トラブルが起こった時

 よくあるのは、映写トラブルなどだが、迅速に対応し、お客さんに状況説明することが大事といえる。JRの事故アナウンスと同じだ。とはいえ、実際それどころではなくなるのだが。ただ、自主上映会ならでは、とかいう陳腐な言い訳はやめたい。迷惑をかけているのはこっちなんだから、それを売りにしてはダメだと思う。

アンケートの読み方

 アンケートの感想には2種類あって、うそが書いてあるものと、本当が書いてあるものがある。それを読み取るのもひとつの楽しみといえる。
 例えば、「(ひとことだけ)がんばって下さい」「大変そうだった」「仲間が集まってひとつのものを作るというのは素晴しい」というのは、作品に全然触れていないことからも「つまらない」と同義語だと思っていただいてまず間違いない。また、「〜らしい」というのは他の過去の作品も含めればなんとか評価に値するというものだ。ただ、理論的な文脈なしに「上映するな」「金返せ」と書いてあるようなものはあまり気にしないでいいと思う。当然、文章が長い方が作品への思い入れどが強いと考えていいので、批判的な文章でも、影響度が強いものは文章が長くなるので、上映の価値はあったと考えていいただろう。

宣伝方法・情報誌等

 ここからは宣伝方法を見ていく。
  「ぴあ」やタウン誌などの情報誌は、掲載無料で露出が大きいので是非活用したいところだ。情報を送る時は、各誌のきまりに準じて、必要であれば簡易書留などにして確実に届くようにしたい、もちろん締切前に。情報だけでなく、企画のねらいがわかるような一文とか入っているともっといいし、できればその時期にチラシができていることが望ましい。
  その他の雑誌でも、露出を増やすチャレンジをしてみるのもよいだろう。ただやはり、情報の出力としては弱いかも知れない、記事の載り方しだいだが。ただ、新聞、TV(地上波)に関しては相当力強いパブリシティになる。チャンスがあるなら是非積極的に展開したいところだが、情報の多い都市圏では競争率が高くて難しいといえる。 いずれにしても、読んでいる購読者もあるので、対象にマッチした雑誌、コーナーに載せようとすることが大事である。

宣伝方法・表現の自由度の高いチラシ展開

 チラシ(フライヤー)は、デザインを含め、上映イベントや作品の雰囲気を伝えられる非常に有効な媒体である。ただ、コピーでやったって、1枚10円、大量 コピー(リソグラフ)などでも5円程度かかるので、コストはやや高い。最近は、イラストレーターなどで作ったデータから印刷をすることがポピュラーになり、B5カラーで3000部を3〜4万円程度でできるようになってきた。納期は1〜2週間程度かかる
 チラシの置き場だが、映画館に置いてもらうのがかなり有効だ。ただ、東宝、松竹、東映の都市部の直営劇場・ロードショー館は置いてくれない所が多い(特に東宝は厳しい)。独立系劇場で、特にインデペンデント系作品を上映している所はたいがい置いてくれる(最近はチラシの種類が多くなり過ぎて、枚数などの制限があったりもする)。直接劇場受付に出向き、「自主上映会なんですが、こちらの劇場にチラシを置かせていただけませんでしょうか?」といえばOKだ。かわりにその劇場のチラシを渡され、上映会で配ってくれるように言われる場合もある。できるだけ受付が暇な時間(休憩以外の時間)をねらっていきたい。
 また他の自主上映会やイベントなどで置いてもらったり、配ってもらったりするのもありだ。クラブやカルチャー系のショップ、居酒屋なども置いたり、吊したりしてくれるところはたくさんあるが、関連がないと効果 はうすいだろう。
 
次に、チラシの中味についてだが、私がよくやる方法として説得広告の手法をあげておこう。上映作品の1本1本についてどういう作品か、その作品の魅力を綴り興味を喚起する。ある種コピーライター的センスが要求される。 それから、賞とか、大きな映画祭などに参加している場合は漏らさず入れておく。また、それがない場合は、過去に遡って、「○○で入選した監督の初期の代表作の1本」とか、「○○で活躍を続ける」みたいないいまわしもある。また、メインの作品があるなら、試写をして、アンケートの感想を散らすというインデペンデント系の配給会社がよくやる方法も有効といえる。

宣伝方法・インターネット・Eメール

 インターネットのWEBページは、わずかな費用で上映イベントや作品の雰囲気を伝えられる媒体として非常に効果があるといえる。また、アクセス数を知ることができれば、マーケティング効果もある。数年前まで、サイトを見る人々は限られていたが、今はいわずもがなである。さらに随時更新ができるので活用の幅も広い。掲示板の活用も含めて面白い方法を考えたいところである。Eメールも気軽なDM手段として活用の幅は広い。HTMLでDMメールする例はインデペンデント作品には少ないが、テキストでも他の宣伝方法と組み合わせてかなり効果が期待できるだろう。

宣伝方法・DMは悩みの種

 郵送によるDMは有効な方法だが、コストが高くて結構悩みの種でもある。手間もかかるし、上映イベントをやればやるほど名簿は増えていくのに、お客さんは横這いなんてことになりかねない(よく、郵送費の安いミニレターなどが使われたりもしているが、あれは封入に時間がかかる)。ま、方法としては、上映の近い団体どうしでタイアップするとかくらいかも 。
 この名簿のスリム化については、映像の場合特に難しいと思っている。というのは、演劇などの場合、大抵1作品しかないし、出演者の知り合い系のお客さんが多いので、その出演者が出ていない場合、切り捨ててもいいかなって思えちゃうんだが、映像は、数本同時上映があり、監督の知り合いが多いので、その監督と同じテイストの作品があったり、好きな作品が他にあったりするとアクション好きとかのようにジャンルとしての観客予備軍になる可能性がかなり高く捨てにくい。個人のデータをデータベースにするなんて壮大な計画をやっても仕方ないし、ケースバイケースでやっていくしかないかも知れない。

チケットを売る時のささやかな技

 ま、ここまでやるとキャッチかセミナーみたいになってくるが、前売チケットなどを作って売ろうとする時、とりあえず頼れるのは友達ってことになる(現に劇場公開作でも、このお友達動員はバカにならないと某劇場支配人がいっておりました)。そんなとき、昨日まで友達だと思っていた人がなかなか買ってくれなかったりする。でも、それはかなり自分に悪い部分があって、例えば、飲み会にも顔を出さず、人の頼み事はきかず、話をすれば自分の都合で話す。それでお願いモードに突入したって、チケットははけない。世の中GIVE&TAKEなんですから。製作中こそ、飲み会に遅れてでも顔を出し「いやいや、撮影でおくれちゃって」とさりげなく製作していることをアピール。「え、何か作ってるの?」ってなれば、そこは結果的に製作宣伝の場となるのだ。人が何か頼みごとしてきたら「うーん」とうなりながらそれに応えてあげたい。そうすると、相手も「世話になったしなぁ」という気持ちからチケットくらい買ってくれるはずだ。
 なんか、こう書くと、私がなんか戦略的に友達を利用しているみたいだが、これは結果論だから。私の場合、楽しくて飲み会とか行っているので、へんに勘繰らないでください。ただ言えるのは、友達の間で話題にならない作品や上映会は、当然世の中に出したって、盛り上がらないし、食いつきも良くないってこと。常に、まめに動く姿勢が必要なのだ。

まとめ

 よくいわれることだが、映像は他の人に見せて完成といえる。上映イベントは、プロフェッショナルな映像の作り手たちが唯一持たないダイレクトな作り手と受け手の交流の場なのである。ここをパーソナルインデペンデント映像シーンのアドバンテージとして活用して欲しいと願っている。
    

 
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