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プロデューサーとは?その醍醐味 予算の読み方キャストとスタッフ上映イベントの実践
     

予算の読み方【2004/02】

 プロデューサーとして重要な役割のひとつ、予算を見ていきます。

全体の予算はプロデューサー、細かい予算は制作進行が管理する

 製作プロダクションによっても違いはあるが、概ね作品全体の予算はプロデューサーが管理し、その中の一部のロケーション費などを製作部つまり制作進行(プロダクションマネージャー)が管理している。
 プロフェッショナルなプロデューサーは、企画や構成台本やシナリオを読んだ瞬間に、その作品が大体いくらぐらいで出来るかを想定する能力を持っており、各スタッフの費用、スタジオの費用なども頭に思い描きながら作品のマネー的な落とし所を構想する。もちろん、映画、CM、ドラマなど分野によって、また規模によって、自らの経験上未知数な部分があることもあるが、想定する予算がなければどういう布陣で製作を進めるかも決まってこないわけで、プリプロの第一歩には違いないのだ。
  また、先にも述べたように予算をどこにかけるかということもポイントである。細かい話だが、1万円位の小道具を割愛することより、1シーンをカットしたり同じシチュエーションにするとかの方が予算が助けられたりするので、木を見て森を見ずにならないようにしなければならない。
 個人インデペンデントで製作する場合、キャストスタッフはボランティアでお願いすることも多いので、人件費的な費用を換算しないにしても、テープ1本、ガムテープ1コには費用がかかるわけで、下記のような製作見積書(予算書)に費用を書き込みながら製作費を算出すると、意外に雑費的なお金がボディブローのように私たちを苦しめることがわかるだろう。だったら、あらかじめシナリオを一部変えるとか、何らかの予防処置を早い段階でとることができるわけだ。
 以下にそれぞれの項目の簡単な説明を分類別に書いた。映像の作り方も色々と変わってきているので一つの見本として参考にして欲しい。

◯製作見積書・見本(画像をクリックすると拡大したものが出ます)
    
 
 
 このフォーマットはクライアント、広告代理店などに提出する映像製作の見積であり、直接の製作予算(実行予算)とは厳密には少し違う。例えば編集・録音費のオフライン編集費(ノンリニア)は社内あるいは個人の手持ちでノンリニアの編集システムを持っていれば、作品単体として考えた場合、実際に費用はかからないことになる。しかし、長い目で見ればそれに投資はしている訳で、製作プロダクションとしては、ここの部分を請求する権利はあるわけだ。このように製作費には、対外的な金額(見積)と内部的な金額(実行予算)の二つが存在し、その差が製作プロダクションのもうけ分(粗利益)ということになるのである。
  それぞれの金額は見積なので、消費税などを入れた細かい数値になることはなく、概算的な数値になる。また、ある程度予算がオーバーすることも想定する。ま、こういった点が映像製作の見積をする場合にブラックボックスになり、一目では解りづらいものになってしまう要因なのだ。社内用に当然実行予算用のフォーマットもあったりするが、単純に同じフォーマットで作品単体に実際にかかる費用のみを記入した方が見比べやすいと思うので、ここではこの一種のみを掲載した。(自分でExcelなどで作るのなら、見積書と実行予算書と表題を変えておいた方が間違いを防げて良いだろう。)
 ちなみに、 映像の他に印刷なども含めた多メディア展開するプロジェクトになると、それを仕切る広告代理店からクライアントに出される見積はもっとシンプルなものになり、撮影費一式いくら、編集費一式いくら位の4つか5つ位の項目に強引にまとめたもので金額が示されることもある。
 
◯各項目の説明
★項目上部部分
  作成または提出年月日、提出先、総計の金額、自社の名前とか住所電話、プロジェクト名つまり作品名、納品する形態(VHS何本とか)、仕上げ方法(原版のテープの種類とか必要に応じて)などが入る
これは普通の見積書や請求書や納品書のような体裁である(個人で予算管理するためだけに作るのであれば作品名以外に特に書き込まなくてもよいが)
★企画脚本費
  企画者や脚本家に払う人件費、シナリオハンティングなどのリサーチ費用など
★スタッフ費
 

プロダクションに関わるスタッフの人件費、個人製作でボランティアの場合は0となる

★出演料
  キャストやナレーター、エキストラなどの人件費、これも個人製作でボランティアの場合は0となる
★美術費
  衣装や小道具などの費用、大道具などスタジオに附随するものは撮影スタジオ費に入れる場合も
★アニメ・特殊効果費
  アニメやCGなどの費用、人件費を含んで外注費的にまとめた方がわかりやすい
特殊美術や特殊メイクといったものは美術費に入れるのが妥当だろう
★ロケーション費
  車輛費、交通費、スタッフキャストの弁当代などロケーションにかかる費用、プロダクションで発生する雑費的な費用はここに突っ込むことが多い、ロケハンにかかる費用も「ロケハン費」としてまとめてここに入れると要素が似ているのでわかりやすい
映像制作の場合、報道などを除いて、ロケーションなど集団で動いている場合、その食事代を製作会社が負担するのが慣例になっている、これは合理的に食事時間をコントロールし、スタッフなどをロケ現場で分散させないための方策だが、クライアント提出用の見積の場合、「食事代まで請求書にのせてるのかよ」という感情も呼び起こしかねないので、雑費扱いで1日いくらで×ロケ日数のような書き方になることもある
★機材費
  主に撮影時に使用する機材の費用、自社や個人で機材を持っていたとしても消耗するのは間違いないので、レンタルするのと同じ考えで、クライアント提出の見積にはのせ、実行予算にはのせない
新たに機材を購入する場合は、他の作品でも使用可能なものなら、同様にレンタル相当分をのせ、他の作品で使用しないような特殊なものなら、全額をのせることになるだろう
★テープ・フィルム費
  ビデオ時代になってから意外に忘れがちな費用である、撮影時だけでなく納品までも含めて費用を算出する
★撮影スタジオ費
  撮影でスタジオを使う場合の費用、ロケセットなどで場所を一時的に借りる場合などはロケーション費だが、費用が高い場合はこちらに入れることも、ライトなどのオプション費用がかかる場合もあるので忘れないようにする
★音楽費
  作曲や選曲の費用(ほとんど人件費だが)、音楽著作権の費用など
★編集・録音費
  ビデオの場合だと編集・MAのスタジオ費用になり、普通人件費込みで1時間いくらの価格設定されているので、その費用の予測価格を算出して書く
ただし、ビデオの編集時間ほど予測がつかないものはない、時間、単価ともに少し多めに算出しておいた方が良いだろう、相当の理由がない限り後から金額をあげるのは難しいと思った方がいい
自己機材だけで完結する場合は、撮影費と同様にある程度のレンタル費用としてグロス算出してもいいだろう
ポスプロ作業においてもスタッフの食事代は製作会社がもつ
★パッケージ費
  完成したビデオをVHSやDVDなどにプリントする費用
★製作雑費
  ギャラの振込代など製作全般でかかる雑費、まとめていくらで書く
★製作管理費
 

プロダクションの会社としての儲け分だが、実際は製作費用をある一定期間運転資金として充てなければならないので、その金利分的も性格ももつ、通常、製作費の10%から20%の間に設定されている

 こう見ていくと映像製作が毎回違うものを作っている割にいかに薄利多売かわかっていただけるだろう。実際、人件費などは社員スタッフなどを使い進めていくことが多いから、プロダクションの粗利益が本当に10%にとどまることはないだろうが、様々なリスクを考えるとなかなか大変なものである。 自主製作で映像を作って回収しようとする場合、マ−ケティングの視野から予算が組まれることになると思うが、そんな請負でない製作の場合、その資金回収でさえ困難な場合もありうる訳だ。
 しかしながら、映像はそれを見る観客や視聴者の反応がダイレクトに返ってくるものであり、そこに魅力にとりつかれて映像は作り続けられる。それを仕切るプロデューサーの存在は大きいといえる。
   

 
プロデューサーとは?その醍醐味 予算の読み方キャストとスタッフ上映イベントの実践
     

 


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